小説 【書評】石沢麻依『貝に続く場所にて』 東日本大震災の幽霊を悼む 石沢麻依『貝に続く場所にて』の書評。東日本大震災で海にのまれ仲間の遺体は今だに見つかっていない。9年の時を越えて彼の幽霊が現れる。生き残った者は、死者に感じる罪悪感から逃れことはできるのか。第165回芥川賞受賞、第64回群像新人文学賞受賞。 2021.08.15 小説文芸誌本読書感想文
小説 【書評】羽田圭介「Phantom」 カルト集団の幻影は消えない 羽田圭介の小説「Phantom(ファントム)」(文學界2021年5月号掲載)の書評。低所得にもかかわらず、株式投資に情熱を注ぐ女性会社員。倹約して将来に備えるか、今の幸せのために消費するか。人生を豊かにする金の使い方を問いかける。 2021.07.13 小説文芸誌本読書感想文
本 【書評】白石一文「我が産声を聞きに」 新型コロナと中年夫婦の危機 「小説現代」(講談社)2021年4月号に掲載された白石一文「我が産声を聞きに」の書評。子育てが一段落した中年夫婦。肺がんが見つかった夫は、恋人を作って家を出てしまう。残された妻は、人生の転機をどう受け止めて、乗り越えようとするのか。 2021.06.26 小説文芸誌本読書感想文
本 【解説】南杏子『いのちの停車場』 感想 レビュー 親が「死にたい」と言うとき 南杏子の小説『いのちの停車場』の解説。吉永小百合主演の映画の原作としても知られ、終末期医療と看取り、そして安楽死という医療現場が直面する重いテーマに光を当てる。終末期医療専門医の目を通して、死を目前にした患者、その家族を描いている。 2021.06.14 健康小説映画本読書感想文
本 【書評】『世界の「住所」の物語』 住所の向こうに権力が見える ディアドラ・マスク『世界の住所の物語』(神谷栞里・訳、原書房)は、ロンドンやベルリンなど様々な都市における住所にまつわる様々なエピソードを紹介しながら、住所には2つの側面があることを示す。1つの側面は、利便性であり、もう1つの側面は、国や行政による管理あるいは統治の強化である。 2021.05.31 本読書感想文