【あらすじ・相関図】徹底解説「走れメロス」太宰治 勇者を突き動かしたものとは?
文芸誌
【解説】宇佐見りん『くるまの娘』アダルトチルドレンの居場所
宇佐見りん『くるまの娘』の解説。暴力を振るう父とアルコール依存の母に育てられた娘・かんこの苦悩を描く。家を出ていった兄に対して、かんこは家に留まることを選ぶ。かんこは暴力から身を守りつつ、「自立」とは異なる関係を両親と結ぼうとする。そのとき彼女が選んだ居場所とは。
【解説】九段理江『Schoolgirl』 正義、あるいは美しく生きること
九段理江の小説「Schoolgirl」の解説。親から叩かれ罵倒された記憶を抱えて生きてきた母。社会的、倫理的に「正しい」ことをYoutubeで発信する娘。母は娘を愛しているが、娘は母を軽蔑している。すれ違う二人を太宰治の「女生徒」がつなぐ。
【書評】李琴峰『生を祝う』 胎児が出生を選択する未来に幸せはあるのか
李琴峰(り ことみ)の芥川賞受賞第一作『生を祝う』の書評。生まれるか、それとも生まれないか胎児自身が選択権できる近未来。それは人間の尊厳を肯定することになるのか。子にとって幸せと言えるのか。人の生や家族の在り方に問いを投げかける意欲作。
【作品解説】桜庭一樹「キメラ――『少女を埋める』のそれから」 鴻巣批判のポイントまとめ
桜庭一樹「キメラ----『少女を埋める』のそれから」(「文學界」2021年11月号)の作品解説。桜庭一樹・鴻巣友季子論争を受けて書かれたこの作品で展開される鴻巣批判のポイントまとめた。
【作品評】桜庭一樹「少女を埋める」 母と共同体への復讐譚
桜庭一樹の小説「少女を埋める」で語られているのは母と共同体への復讐である。ところが鴻巣友季子が文芸批評で「介護」や「虐待」という文脈から言及したことで、復讐という主題が着目されずにいるのではないか。
桜庭一樹・鴻巣友季子論争まとめ あらすじと解釈は分けられるか
桜庭一樹と鴻巣友季子 の間で小説「少女を埋める」の批評を巡って論争が起きている。小説のあらすじと解釈の在り方、小説のモデルの扱いが論点になっている。論争の経緯と論点について解説した。
【書評】石沢麻依『貝に続く場所にて』 東日本大震災の幽霊を悼む
石沢麻依『貝に続く場所にて』の書評。東日本大震災で海にのまれ仲間の遺体は今だに見つかっていない。9年の時を越えて彼の幽霊が現れる。生き残った者は、死者に感じる罪悪感から逃れことはできるのか。第165回芥川賞受賞、第64回群像新人文学賞受賞。
【書評】羽田圭介「Phantom」 カルト集団の幻影は消えない
羽田圭介の小説「Phantom(ファントム)」(文學界2021年5月号掲載)の書評。低所得にもかかわらず、株式投資に情熱を注ぐ女性会社員。倹約して将来に備えるか、今の幸せのために消費するか。人生を豊かにする金の使い方を問いかける。
【書評】白石一文「我が産声を聞きに」 新型コロナと中年夫婦の危機
「小説現代」(講談社)2021年4月号に掲載された白石一文「我が産声を聞きに」の書評。子育てが一段落した中年夫婦。肺がんが見つかった夫は、恋人を作って家を出てしまう。残された妻は、人生の転機をどう受け止めて、乗り越えようとするのか。